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申し訳ないという感情に08年2月12日
部屋が散らかりすぎていると、
今年、11歳になる主人に本当に、申し訳なくて、
主人のためにも、なんとかしなくちゃ。
と、思いながらもダラダラと、日々過ごしている、あくとです。
正直なところ、可哀相すぎて、
わたしと、一緒に暮らしていて幸せなのか、
本当は、わたしじゃない方が良かったのではないか?
など、考えてしまう。
わたしが、片付けられないということは、
彼にとっても、プライベートスペースは狭まり、
充分に運動することもできず、
ストレスが溜まることは必然で、
彼にとって、
もっとキレイ好きで素敵な家族と巡り合っていたなら、
彼の人生は、もっと楽しかったに違いない、と思う。
彼との出会いは、電車を乗り継ぎながら、
2時間も掛かる場所で出会った。
その日、わたしは知人宅へお泊りした帰りで、
その年一番の暑い日だった。
あまりの暑さに、午後になると、
倒れてしまうかもしれないということで、
午前中には知人宅から失礼した。
立っているだけで、汗は噴出し、
早く電車に乗りエアコンのある場所へ行きたいという一心で、
足早に昭和のにおいの残る商店街を抜けるように、
駅に向かっていた。
スタスタ、黙々と・・
その商店街の半分は、シャッターが閉まっており、
もう少しで、ゴーストタウン化しそうなくらいの商店街で、
開いているお店があると、返って目だっている。
てくてくと歩き、とあるお店の前を通りすぎた。
多分、距離的には、10メートル過ぎたところだろうか、
立ち止まり、考え込んでしまった。
ん?今、なんか、視界にありえないものが・・・?
ん?錯覚・・?
振り向いて看板をみた。
『鳥類専門店:小鳥屋本舗』と書いてあり、
身長を越えるほどに、鳥かごが、重なってあり、
もちろん、その中は、
インコ、文鳥、オウム、ウグイスらしき小鳥なのが、
チッチ、チュンチュン、クワックワ、大合唱だ。
へぇ、まだ、こういったお店ってあるんだなぁ。
と思いながら、でも今、わたし何を見たんだ?
と後戻りしてみるが、何も変わった様子はない。
えっと、何もないよねぇ?
と思うのだが、けれど、気になるってんで、
一つ一つのカゴの中を確認することにした。
上から一つ一つみて、とうとう、一番下までいくと、
そこには、『手乗り』と紙が貼ってあるカゴがある。
・・・手乗り?手乗りで間違いないんだけど?
もう一度、看板をみた。
『鳥類専門店:小鳥屋本舗』
・・・・・・・?
再度、手乗りと書いてあるカゴを見た。
と、鳥には見えないだけど・・・
どうみても、↑↑↑じゃね?
しゃがみこんだまま、固まっているわたしの上から、
店主が声をかけてきた。
第一ラウンド勃発
「お姉ちゃん、ソレ、買わない?」
『・・・あの、この仔、み・耳あるんですけど』
「うん、あはは、それ、鳥じゃないもんね」
『ええ、鳥には見えませんね、ここ、鳥類専門店じゃ?』
「そう、だから、困っちゃってるんだよね。買わない?」
『飼わないです』
「えぇっ、そんなこと言わないでさ、買ってよ。安くするからさ」
『いえ、金額の問題じゃなくてだから、飼えないんですよ』
「買ってよ」
『飼いません』
「ほんとに、買わない?」
『わたし、生き物をお金で購入するという感覚がないんです。
命をお金で買うなんて出来ないんです』
「コレ、最後の一匹なんだよね」エンドレス・・・・
うざっ、シカトしよ。
なんだよ、コレコレって、イラっとするなぁ。
あくとの気持ち、第一ラウンド、あくと勝利。
でも、なんか、元気ないな、寝てるだけだよね?
可哀相だなぁ。
犬用のおしっこシートを、鳥カゴ一面に敷いて、
10センチくらいの大きさしかないけど、
その上にクテって横たわっているだけで、動きもしないし。
第二ラウンド勃発。
『あの、動かないんですけど、ちょっと、出してもいいですか?』
「いいよ。出しちゃって、あのさ、コレ可哀相なんだよ。
他の4匹はすぐに、買手が付いたのに、コレだけ残っちゃったの」
鳴きもせず、ぐったりとしている、
小さな命を膝の上に乗せてみた。
すると、なんだか、判らない怒りのような感情が、出てきた。
その年一番の暑さの中、
小さな鳥カゴの、汚れたおしっこシートの上に、
転がされているだけの、小さな命。
炎天下の中、アスファルトの照り返しの激しい、
一番下に放置されている、店主のいうコレ。
そら、ぐったりもするよね。
ねぇねぇ、目を開けて。
わたしに顔見せて。
親指と一指し指で、
輪っかを作ったくらいの顔のサイズに、
チョンチョン、と触れても目を開けてくれない。
お願い、ゆさゆさ、ゆさゆさ。
ゆっくりと、目を開けた。あ、生きてる。良かったぁ。
ん?グリーンアイじゃない。
え?この仔もしかして。
『あ、あ、あアメリカンショートヘアですか!』
「おっ、良く判ったね、そう、でも、茶色でしょ。
他の4匹はグレイだったから、
3週間まえには、みんな買手ついたんだけどさぁ、
預かりモンだし、ね、買ってよ」
ばばば、ばかぁ、アメリカンショートヘアゴールドで、
しかも、グリーンアイだっちゅうの。
どんだけ、高級品やちゅうねん。
あくとの気持ち、第二ラウンド、引き分け。
でね、よくよく、話しを聞いてみて、
あくとが想像するに、預かった5匹の店主の知り合いは、
アメリカンショートヘアで、金儲けをしようと企んだのだと思う。
しかし、オレンジ色が一匹生まれたことで、
掛け合わせを失敗したことがわかる。
つまり、今は、まだ、
小さくてアメリカンショートヘアの模様がはっきりわかるが、
大きくなるにつれて、
全体的に、あの独特の模様が消えてしまい、
ただの、雑種になってしまうから、
この仔たちで、金儲けはすれば、詐欺になってしまう、
だから、処分したかったのだ。
産まれて間もないのに、
こんな場所で放置されて、
素人が命で金儲けしようとするからだ(怒)
特に、オレンジ色に産まれてきてしまったこの仔は、
他の仔よりも、3週間も長く、
このカゴの中で、炎天下の下さらされてきたんだ。
人間の金儲けのつけ。
随分と悩んだが、命の責任の大きさに、
わたしには、無理だと判断した。
マンションは、ペット禁止だし、
愛いて、それを失ったとき、辛いこともわかっている。
それに、明らかにこの仔は弱っており、
多分、1週間くらいで、旅立つだろう。
そして、第三ラウンド勃発。
「ねぇ、アメリカンショートヘアだけど、3000円でいいからさぁ」
『(だから、将来は雑種だっちゅうの)
申し訳ないですが、やっぱり、飼え・・』
み・・・み・・みぃ。
膝の中から、消え入りそうな声が聞こえた。
その瞬間、あくと、アッパーパンチ、ノックアウトっ。
『・・・さ、3000円で・・・いいんです、ね・・・』
・・・・・・・
・・・・・・・
と、3000円を渡した。
第三ラウンド、一瞬にして店主の勝利。
すると、背後から、大きな拍手の渦が聞こえた。
あくとが、振り向くと10数人が、背後を囲んでおり、
この店主とのやり取りを、ずっと、見守っていたようだ。
確かに、途中から、
可哀相とか、飼ってあげればいいのに。
最近の子はね・・あ〜だ、こ〜だ。
という、ざわついた感じは、気が付いていた。
どうやら、商店街の、
肉屋、魚屋、花屋、八百屋さんたちは、
この3週間、彼を心配し、気にしていたが、
自分たちでは、どうすることもできず、
しゃがみこんだ、あくとに気が付いた。
(お前らがなんとかしろよ・・・)
ねぇチャン、偉いぞ。良くやった!
大事にしてね。ありがとうねっ。
よかったよ、ほんとにっ。
ほとんど歓声といってもよく、
ここは、ガッツポーズでもした方がいいくらいだ。
帰りの電車の中は、ただ、考えていた。
4800円のうち、3000円を失って、交通費は約600円。
残り、1200円で、一週間、過ごせるのか。
そして、彼は、間違いなく、旅立ってしまうので、
近くの公園の、大きな木の下に埋める際には、
100円ショップで、スコップを買わなくちゃいけないな。
それから、名前をつけるのは、よそう。
名前をつけてしまったら、情がわいてしまうじゃないか。
汚れたおしっこシートの上じゃなく、
わたしが、彼の最期を看取るために、
3000円をだしたんだ。
ごめんね、人間の都合で、産まれてきて、
何もしてやれなくて、ほんと、ごめん。
最期くらいは、同じ人間の手の中だけど、
安らかに旅立ってね、ごめんね。
そして、10年、わたしは彼に仕え・・・
実の親と過ごした時間よりも長い時間を共に過ごしている。


アメリカンショートヘアの模様はすでに消え・・・
わたしが、冬には、欠かせないと思っている、
温かいお気に入りのコートの上に、彼は寝ている。
なぜ、そこに、敷くのですか?
わたしのモノは、自分のものということですかね。
それから、起きられましたら、お食事ですね。

あ、すいません、起こしちゃいましたか?
あの、これからも、お掃除は努力してまいりますので、
よ、ろしく、いえ、
充分にお仕えいたします、ご主人様。
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